2012-09-28から1日間の記事一覧

杳子(・妻隠) 古井由吉

この小説は、例えば真夜中から明け方にかけて、というような孤絶した時間に、深々と読むべきである。微細なもの、微妙なものの表現の窮み。おそらく自身が限りなく分裂病に近い気質であり、発病寸前までは行っていたであろう人によってのみ書かれえた、分裂…