過越しの祭  米谷ふみ子

 読んで楽しく、実用的価値もある有用な私小説。このしたたかさ、柔軟な人間知は、敬意をこめてむしろ直木賞にふさわしいのでは、と思う。最近の直木賞受賞者(推理小説か時代小説かだけ)を見れば、敬意をこめていると取られるのは難しいが。

第94回
1985年後期
個人的評価☆☆

カイ 人間が書けている(吉行淳之介)
ヤリ "作品”というよりは主婦体験の作文を出ていない(開高健)